そういう考え方もあるよね

っていう何でもありの雑多ブログ。

ただのアクションSFじゃないよ!映画『マトリックス』が意味わからなかった人向け解説!

f:id:kangaeru-ashi:20160528231128j:plain

最近、マトリックスに再ハマりしています!

当時革新的であったバレットタイム(銃弾がスローモーションになるやつです)で話題になった名作映画ですね。あの独特の回避ポーズも有名ですね!

ストーリーが難解なので雰囲気やアクションにばかり目が行きがちですが、実はストーリーが非常に奥深くてめちゃくちゃ面白いのです。哲学性溢れまくってます。

「ストーリーの意味がわからない!」という人向けに、大筋だけわかるよう解説をします。細かいところは長くなるので割愛します。

(注)古い映画ですがネタバレです! 

マトリックス」とは?

マトリックス(matrix)とは「子宮」を意味するラテン語が語源で、そこから「何かを生み出すもの」を意味する言葉となっています。

また、数学で習う行列式のことを指したりもします。コンピュータプログラムの基礎となる要素ですね。イメージしやすいものだと、エクセルの行と列のこともマトリックスと呼べますね。

それらを踏まえてSFの世界では電脳の仮想現実、つまりヴァーチャルリアリティのことをマトリックスと呼びます。ウィリアム・ギブスンという小説家が自身のSF小説内でこの言葉を使ったのが始まりです。

コンピューター・ネットワーク上のサイバースペース(電脳空間)に築かれた「仮想現実空間」、人類の全コンピューター・システムから引き出されたデータの「視覚的再現」、「共感覚幻想」のことを「マトリックス」と呼んでいる。

出展:マトリックス - Wikipedia

電脳バーチャルリアリティの考え方については、哲学における仮説の一つである「水槽の中の脳」がベースになっていますね。

f:id:kangaeru-ashi:20160531210208p:plain

水槽の中の脳とは「この現実世界は脳が電気信号として感じているだけの幻覚ではないのか?」という仮説です。脳は神経細胞を通る電気信号で意識/感情/思考を働かせているので、電極を繋いで微弱な電流操作をすることで「仮想現実」を脳に体験させ、それを僕たちが認識しているだけではないのかというものです。(参考:水槽の脳 - Wikipedia

まさに、今作マトリックスの舞台そのものですね。マトリックスの世界の住人は後頭部に挿されたプラグから電気信号を流され、知らず知らず仮想現実の中で生かされ続けています。大半は目覚めることなく仮想現実の中で一生を終えます。

一方、それに気づいて目を覚ました人間が主人公勢であるネオモーフィアストリニティ達ですね。

f:id:kangaeru-ashi:20160524011350j:plain

プラグはインターネットに繋ぐLANケーブルのようなイメージでもいいと思います。

なぜ彼らは電脳世界(マトリックス)で生かされているのか?

これに関しては人間と機械の過去のやり取りがあるので、わかりやすいように順に箇条書きで説明します。

◆経緯

世界でIT/ロボット/人工知能などが著しく発展する

技術的特異点を超え、ロボットは自我(のようなもの)を持つようになる

ロボットを酷使してきた人間との間に戦争が起こる(ターミネーターと同じですね)

戦争が続き、人間側は劣勢になりロボットが世界の大半を占める

人類は最終手段として核を放ち、その黒煙で空を覆い隠して太陽光を遮ってしまう

ロボット達は太陽光エネルギーで動いていたので、深刻なエネルギー不足に陥る

エネルギーの調達に困ったロボットは人間の生体エネルギーを自らのエネルギーとする技術を開発(身体からの熱?脳内の電気?詳細は不明)

昏睡状態で拘束された人間はエネルギー量が少ない、またはすぐに命が尽きてしまうという問題が発生(意志が働いていないため)

プラグを繋いで人間の脳に仮想現実プログラムを体験させて「生きている」という感覚を与えることで、安定した人間栽培を実現

生まれた頃からプラグに挿されている人間は、仮想現実を現実だと認識して一生を過ごす(この仮想現実がマトリックスの世界)


...といった経緯で、プラントのようなところへ収容されてプラグに繋がれ仮想現実の中を生きているわけです。

誰がマトリックスを作ったのか?

f:id:kangaeru-ashi:20160531211234j:plain

この人です。

もういきなり壮絶なネタバレですが、終盤で出てくるこの「アーキテクト」と呼ばれる人物がマトリックスを創造しました。(機械のプログラムなので人物と言えるかはわかりませんが...)

もともと彼が作ったマトリックス世界は、ロボットならではの完全な数式に基づいた「完璧な世界」でした。完璧というものがどのようなものか想像はつきませんが、そうであったのです。

しかし、なぜか人間の脳は拒絶反応を起こしました。さぁ困ったどうする!と、ここで登場するのがこの人(プログラム)です。

f:id:kangaeru-ashi:20160531212313j:plain

オラクル」です。またの名を預言者です。

彼女は「選択」を司るプログラムで、人間の持つ直感や曖昧さを追求するために作られました。

彼女の働きで、マトリックス世界に「人間の意志による選択」という曖昧な不確定要素を追加することによりマトリックスは安定しています。

しかし、不確定要素と言うのはプログラムにとってはエラーやバグと同じようなもの。そんな「異常」が集積することによって、一部の人たちは現実世界に目覚めます。

主人公であるネオは、モーフィアスの差し出した「赤の薬と青の薬」から赤の薬を選択して現実世界に目を覚ましていますね。

f:id:kangaeru-ashi:20160531213108j:plain

モーフィアス「ここに2つの薬がある。赤い薬は真実を知る薬だ。青い薬を飲むとすべてを忘れ、もとの世界に戻る。さぁネオ、どっちを選ぶのかね。 赤い薬か、青い薬か...」

目覚めた人間たちの目的は?

f:id:kangaeru-ashi:20160531213610j:plain

一度目覚めた人たちは脳にカンフーの技術などをインプットして、再度マトリックスの世界に侵入します。言い換えれば彼らはコンピュータウィルスです。その目的は、マトリックス世界を通じてマトリックスのメインシステムを壊すことです。

目覚めた人間たちは「ザイオン」と呼ばれる人類の城を築いて住み着き、現実世界で機械との戦争状態を続けています。

ザイオンは実は...

ここでまた重大なネタバレなのですが、あたかも人間が自ら作った「反撃の城」のように見えるザイオンも、実は知らず知らずのうちに機械によって作るように仕向けられていただけなのです。

機械にとってのザイオンの存在意義は「バグの管理」です。目覚めた人間がこのザイオンに集まるということは、異常が一箇所に集まるということ。管理しやすいですね。イメージとしては追い込み漁と似たような考え方ですか。

そしてこれは後述する「救世主システム」というものを運用する為の要素なのです。

救世主システムとは?救世主の存在意義は?

主人公であるネオは「救世主」と呼ばれています。(ちなみにNEOを並び替えるとONEになり、THE ONEとは英語で救世主イエスキリストのことを指します)

先ほど目覚めた人間はバグやウィルスのようなものと言いましたが、ネオはその中でも特別なものです。それを彼らは救世主と呼んでいます。

ちょっと端折りますが、救世主はなんやかんやで最終的にマトリックス創造主であるアーキテクトのもとに辿り着きます。緻密な計算のプログラムのもと、そうなっているんです。そこで救世主は2つの選択を迫られます。

  1. 救世主が機械に取り込まれることを受け入れれば、マトリックスに繋がれている人類は助かる。しかしザイオンは壊滅する。
  2. 救世主が機械に取り込まれることを拒否すれば、マトリックスに繋がれている人類は全滅する。しかしザイオンは助かる。

もちろん大半の場合は(1)を選ぶでしょうね。救おうと思っている全人類の命を助けられるわけですから。

◆なぜ機械は救世主を取り込もうとしているのか?

救世主はバグや異常のなかでも更に強力な異常です。そのバグの親玉のような救世主が持つデータを取り込んで解析することでマトリックスシステムをアップデート、つまりリロードさせようとしているのです。(2作目サブタイトルのリローデッドですね)

そうすることによりマトリックスは更に安定性を増します。ウィンドウズのアップデートみたいなもんです。

ちなみに、ネオの前にも5人の救世主がいてマトリックス世界を救っています。つまり作中のマトリックスMatrix Ver.6ということになります。

◆もし救世主が(2)を選んでいたら?

(2)を選べば繋がれている人類が全滅します。しかし「そんなことになると機械のエネルギー源がなくなってしまい機械も全滅するのではないか?」と、ネオはアーキテクトとの会話で突っ込んでいます。

そこでアーキテクトはこんなことを言っています。

それは我々が受け入れる生き方のレベルによる。

つまり、ある程度のエネルギーが生産できる別の発電方法があるので、機械は滅びはしないということです。なんかもう手のひらの上で転がされてる感じですね。

あ、ちなみに(1)を選んでザイオンが滅んだ後は、機械の手によって再び数名の男女が目覚めさせられ、また新しいザイオンを作るよう仕向けられます。

この無限ループによるマトリックスのアップデートが、救世主システムです。

ネオの選択

今回のVer.6では、いままでのバージョンとは違った要素がいくつかあります。そのなかでも大きいのが「エージェント・スミス」の存在です。

f:id:kangaeru-ashi:20160531221857j:plain

細かいことは端折りますが、彼は1作目のラストでネオと一瞬だけ融合することにより覚醒しています。そして完全に暴走しており、機械たちの作ったプログラムであったにもかかわらず、機械にとっても非常に危険な手に負えない存在となりました。(勝手にコピペして増殖したり)

そのことをダシに、ネオは機械からの最後の選択に対しこういった交渉を持ちかけます。

マトリックスはアップデートしてやる。でも、スミスぶっ殺すからザイオンは助けてくれ。

そしてネオはスミスとの戦いで勝利します。マトリックスの世界はアップデートされ、なおかつザイオンの壊滅も防がれました。機械も人類も救われたのです。

そうして、マトリックス3部作は完結します。この先の展開もすごい気になりますね。続編出ないかな...

いろいろ細かいところの考察を書きたいですが、今回は大まかなストーリー解説だけで終わります!マトリックスおもしろいよ!

以上!!