そういう考え方もあるよね

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パワーポイント不要論について名前の由来から考えてみた【PowerPoint="力点"じゃない!】

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少し前から、巷では「PowerPoint不要論」が謳われています。

世界的な有名企業であるAmazonやFacecbookから始まり、国内ではトヨタサントリーなどもパワポ禁止令を出しているそうです。

確かに、ごちゃごちゃしたパワーポイントでのプレゼンは疲れますよね。いっそのこと無い方がましかもしれませんね。

一見、「パワーポイントは悪だ!」という風に受けとれますが、パワーポイントは本当に悪いものなのでしょうか。パワーポイントはそもそも何の為にあるソフトなのか、「Power Point」という名前から考えてみました。

 

PowerPoint=力点ではない!

日本では、直訳して「Power Point=力点」という由来説がネット上で出回っています。「プレゼンテーションの力点となるソフト」ということらしいです。

しかし、僕はこれがどうにも腑に落ちません。これから、まるで屁理屈のように細かい話をしますが、僕はどうにも腑に落ちないのです。

PowerPoint=力点というのは日本語のイメージで安直に訳せばそうなりますが、はっきりいって誤訳だと思います。(ちなみにテコの原理の力点は英語で「point of effort」です。)

日本語の「力点」には二つ意味があります。

りきてん
【力点】
1.特に力を注いだ所。重視した点。
2.[物理]てこで物を動かす時、力のかかる点。

りきてん【力点】の意味 - goo国語辞書

どちらの意味で言っているのかはわかりませんが、この2つの意味を踏まえた上で「パワポはプレゼンテーションの力点となるソフト」という誤訳で解釈するとどうなるでしょうか?

1.特に力を注いだ所。重視した点。

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大事ですね、力を注いだところ。でも、この意味で「パワーポイントは力点」を解釈するとなんだか面白いことになります。

「パワーポイント作成に力を入れました!」

「見てください!このこだわりのアニメーション!」

プレゼンテーションの内容そっちのけですね。これでは俗に言う手段と目的の履き違えですね。力を加える場所が違います。つまり、使い方的に「パワーポイントは力点ではない」ということです。

2.[物理]てこで物を動かす時、力のかかる点。

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プレゼンをてこの原理に置き換えた時、作用点にあたるものはなんでしょうか?もちろん、誰かに伝えたいことがあってプレゼンをしているので作用点として力が働く先は「聞き手の心」ですよね。

この意味でパワポを力点だと考えると、「プレゼンテーションで人の心を動かしているのはパワーポイントである」という解釈になりますが、どうでしょうか。それは違いますよね。

プレゼンテーションの力点はあくまでも「自分自身が喋る言葉」です。パワーポイント自体ではありませんし、パワーポイントに書かれている言葉でもありません。パワーポイントが力点ならば「資料配ってハイ終わり」で構いませんよね。

ということで、てこの原理的にも「パワーポイントは力点ではない」ということがわかります。

じゃあPowerPointってどういう名前なの?

僕がよく言っている分解/理解/再構築で考えてみると下記のようになります。

Power → [動詞] 〜に力を与える

Point   → [名詞]ポイント/要点/問題点

合わせて翻訳すると「ポイントに力を与える」という意味になります。プレゼンにおいての力とは説得力なので、つまりパワーポイントは「伝えたいポイントに説得力を与えるためのソフト」なのです。

「え、力点の話と何が違うの?」と思うかもしれませんが、重要なのは「Point」が何を指しているかです。「PowerPointとはプレゼンの力点となるもの」の解釈だと「Point=パワーポイントそのもの」ということになってしまっています。

プレゼンにおいてのポイントは「自分が最も伝えたいこと」です。そのポイントに説得力を与えるために強調するソフトがパワーポイントなのであって、パワーポイントが力点ではないのです。(ややこしい)

なぜパワーポイントが禁止なのか?

さて、冒頭の話に戻りますが、いろんな企業がパワーポイントを禁止し始めているのは、誤った使い方をされがちなソフトだからだと思います。

パワーポイントの誤った使い方はいろいろあるかと思いますが、大きく言えば下記の2つかと思われます。

  1. 作成に時間を使いすぎている(スライド作成に力を入れすぎている)
  2. 伝えたい情報を載せすぎている(スライドで伝えようとしている)

この2点、何か気づきませんか?実は、上記した「力点」の意味と被っているのです。

  1. 特に力を注いだ所。重視した点。
  2. [物理]てこで物を動かす時、力のかかる点。

つまり、「パワーポイント=力点」という概念がその使い方にまで現れているのです。たとえ無意識だったとしても、やっぱり概念って大事ですね...。

だからこそ、重箱の隅をつつくようなマネをしながらも「Power Pointは力点じゃない!」と僕は言いたいのです。要は、パワーポイントに対する概念と使い方だと思います。パワーポイント自体に罪はありません。

有名企業がやっていること=正しい」という概念に振り回されて、「あの有名な企業も禁止してるからパワポはダメなんだ!禁止にしよう!」っていう右にならえな流れが起きないといいですね。

以上!